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乗馬の基本



運   動

F軽速歩

 速歩運動の際、人馬の疲労を軽減する騎乗方法

速歩運動は2節(右前肢と左後肢、左前肢と右後肢を同時に動かす)で歩き、他の歩法にくらべて反動が高いため、馬の肢の動き合わせて一歩おきに上体を上げ、馬の反動を吸収して乗る方法。
 上体を上下に動かすためにバランスが不安定で拳が振れ易く、人馬共に楽な乗り方であるが正しい軽速歩は難しい。


  • 軽速歩には、右軽速歩と左軽速歩ある。
     馬が回転するとき、遠心力により外方の肢に体重が多くかかる。また、前肢に体重の2/3程度かかり、最も体重のかかる外方前肢の負担を軽くするため、外方の前肢が着地したときに人は鞍から尻を上げ、外方前肢の負担を軽くする。右軽速歩は、左手前で行進中に右前肢が上がったときに尻を着く。左軽速歩は、その反対(国により呼び方が異なる場合がある)

  • 上体(重心)は真直ぐ前にあげる。
     上体を上げるとき、右利きの人は右鐙に偏って体重をかけ易く、必ず左右の鐙に均しく体重をかけないと、上体は斜め前方に上がりバランスが崩れる。

       
(写 7)上体を上げた状態においてもバランスを保つ。
  • 股関節、膝、踵の関節は柔軟に。
     上体を上げるとき、膝、踵の関節を柔軟にすると、体重で膝、踵が下がり、尻は鞍から上がるが重心は差ほど高くならず、バランスも安定する。膝、踵を硬く固定すると、上体が高く上がりバランスが不安定になる。

  • 体重は鐙と踵に均等にかける。
     鐙(ツマ先)だけに全体重をかけ脚に力を入れて身体を持ち上げるのではなく、脚全体の力を抜き(特に踵の関節)、体重の重みで膝、踵が下がると同時に馬の反動を利用して上体を前方に少し上げる。このとき踵だけに体重をかけると脚が前出し腰が後引ける。

  • 尻は低くゆっくりと上げる。
     軽速歩は、尻が鞍から離れた瞬間から馬の背、腰の負担が軽減されるため、尻を高く上げても低くても馬にとっては同じであり、後は人のバランスと柔軟性の問題である。軽速歩で尻を高く速く上げるのと、低くゆっくり上げるのと、そのテンポは同じであるが、上体を大きく動かすと重心の動揺が大きく、バランスが不安定になり、また、尻を高く上げるためには、脚に強い力を入れ身体を持ち上げなければならず、余計な力が必要となる。低くゆっくり上げることは難しいが、馬にとっては、馬上の人のバランスも安定し、尻が鞍に着くときの衝撃も小さく、馬の背、腰の負担も少なく、馬にとって優しい乗り方である。

  • 上体を上げた状態でもバランスの取れた姿勢を取る。
     上体が最も高いポイントにおいて、身体全体のバランスが取れていないと、手や脚で身体を支える結果となり、馬につかまらないと上体のバランスを保つことが出来ない。

  • 拳は上体の動きに影響されることなく静定する。
     上体を上げると、拳が身体と一緒に動き、振れ易くなるが、拳は上体の動きにかかわらず振れたり、動かしたりせずに静定する。拳が振れるとバランスはもちろんこと、銜を通して馬をコントロールすることが出来ない。拳を静定したまま上体を上げるには、背を伸ばして胸を張り、肩、肘の関節を柔軟にして、左右の肘の間を腹が前に通り過ぎる感じで上体を上げると、拳の振れは防げ静定する。また、上体の角度を変えないほうが姿勢は美しく見える。

  • 速歩跛行(はこう)【ビッコ】
     軽速歩は、同じ側の軽速歩ばかり取ると、左右の筋肉の発達が異り、跛行でなくとも歩様が左右で異った歩き方をするようになり、これを軽速歩跛行と言う。軽速歩は走る手前により必ず変換を行う。

  • 軽速歩は人の性格がよく現れる。
     人が忙しなく軽速歩をとると、馬は人の気配を感じ取り、歩幅の短いゆとりのない歩様になる。
     また、人は馬のペースに影響されることなく、ゆったりと余裕のある軽速歩を取ると、馬も歩幅の大きなゆとりのある歩様になる。 













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