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乗馬の基本



姿  勢


B姿勢と重心 

1.基本


 
重心=バランスの取れるところ

  • 乗馬はバランスと技のスポーツ。
     
    乗馬はさほど体力を必要とせず、バランスを取るだけで男女を問わず幅広い年齢層で楽しめます。
    人が歩いたり運動するとき、重心(おおむねヘソの後)の下に足を自然に出し、バランスを取りながら転ばないようにしますが、馬の上でも同じように人は自身のバランスを取る必要があります。

  • 人は自身のバランスを取りながら、馬のバランスをさまたげない。

    乗馬で特に大切なことは、馬は重心移動を行いながら馬自身のバランスを取り運動しているので、人も同じように重心移動を行いながら自身のバランスを取り、運動する馬のバランスを妨げず、馬に負担をかけない姿勢を取る必要があります。

  • 人が立っているときの重心が通る線は、おおむね耳、肩、股関節、足の中心(踵ではなく親指・小指・踵をむすぶ三角形の中心。)を通り、つま先と踵に体重が均等に分散されます。鐙を踏んだときも同様に、つま先と踵に等分に体重をかけます。

  • 人は馬の上で自分自身のバランスがとれているか?

    人は馬の上に座っているため自分自身のバランスが取れているか判断できていないことが多く、人がバランスを崩す事により、どれほど馬の背、腰に負担をかけているか自覚しないと、馬はバランスを妨げられる事によりスムーズな運動が行えず、能力を充分に発揮することが出来ません。

    (図10)
立っている時、人の重心線は耳、肩、股関節、足の中心を通る。
 
馬を操作する以前に、人の姿勢、乗る位置で馬にかける負担は大きく異なり、馬の能力が同じならば、その優劣は人の責任となります。人は技術はもとより、姿勢においても馬の能力を助けることも、又、妨げることもします。


2.走行

  • 走行中は、人の重心が馬の重心より前にある。
     
    走行中の馬は、バランスをとるため重心を進行方向に移動しているため(人が走るとき前傾するのと同じ)人も同じ様にスピードと馬の重心に対応するため重心移動をおこなう必要がある。

  • 重心の移動は両鐙と坐骨の三点を基点にするとスムーズに重心移動が行える。


             (写2)
重心の位置は、人は、おおよそヘソの後に、馬は帯径(オビミチ、腹帯の後に)上にあり、いずれも運動、スピード、姿勢により、あらゆる方向に移動する。

   (図11 )
速度の遅いときは、尻を鞍から移すことなく内方の踵に体重をかけ、重心を斜め前方に移動する。


*基本姿勢(姿勢を参照)

*前傾姿勢(障害飛越、競争姿勢も含む)

馬の重心移動、スピードに対応するため上体を前に傾けて乗る姿勢を前傾姿勢と言います。

  • 重心の移動は鐙の長さに関係なくスピードにより異なります。

  • 背を伸ばしたまま(腰を折らない)股関節から上体を前に傾け、人の重心を前方に移す。

  • 鐙の長さを短くするほど前傾(重心の移動)し易く、スピードにより鐙の長さを調節します。

  • 上体が前に傾くため、顔がうつむき下を見やすくなるがアゴを少し前に出し、顔を正面に向け視線が下に向かないように注意します。(注)アゴを出し過ぎると背が硬く、また、丸くなりやすいので騎手の姿勢、前傾の角度が大きい姿勢は多少、上目づかいで前を見ると良いでしょう。


*スリーポイント(尻を鞍に着けた前傾姿勢)

  • 尻を鞍から離すことなく上体を前傾する。

  • 鐙の長さは基本姿勢か、あるいは鐙革で2〜3穴詰めると前傾姿勢がとりやすい。

  • 体重を両鐙と鞍にかけるため、上体が安定し脚による操作が容易で、より大きな推進力が得やすい。

  • 速いスピードに対応できないため、スピードを出すと上体の動揺が大きく、バランスが取れず馬の動きに着いていくのが難しい。

  • 上体が起き易く、重心が後方に残り馬の背、腰を圧迫し、後躯の動きを妨げ余計な負担を掛け易い。

  • 障害コースの走行ではスピード不足になりやすく、スピード感覚に注意する必要がある。

  • 障害飛越の助走区間において、強い推進力が得易いが上体を起こすことなく前傾姿勢をとる必要がある。


*ツーポイント(尻を鞍から離した前傾姿勢)

  • 尻を鞍から離し、体重を両鐙にのせて上体を前傾させ、重心移動した姿勢で、高速走行、障害飛越のようにスピードを伴う運動の基本姿勢で、ツーポイントに欠かせないのは姿勢とバランスです。

  • スピードが速くなるに従い鐙を短くすると、スピードに対応した前傾姿勢(重心移動)が取り易くなる。

  • 上体は、尻が鞍から離れているため馬の反動、動揺を直接に受けず、身体全体の揺れが少なく、また、馬の背、腰を圧迫しないため馬の動きを妨げない。

  • 全体重が鐙にかかり膝、踵の関節が固定され易いため、馬の反動を吸収するには、膝、踵の関節を柔軟に保つ必要がある。

  • 股関節・膝・踵の関節を柔軟して身体全体の動揺を各関節で吸収する。

  • 体重は、膝、踵、ツマ先を柔軟にして分散させて重心を低くする。全体重をツマ先だけにかけると、踵の関節が固定され、鐙が振れてバランスが取りにくく脚の操作が難しい。また、踵だけに体重をかけると脚が前出し、人の腰(重心)が後に残り、上下に振れ尻餅を突き易すい。

  • 鐙(脚)の位置が安定しないとバランスを取るのが難しく、手、脚で馬体につかまり易い。


・スピードが同じならば、人馬の姿勢が異なっても重心の位置関係は変わらず、前に傾く重心の線も変わらない。
・人自身も足の中心の上に人の重心が来る。また、馬の重心にも一致する。

*姿勢とバランスのチェック

  • 姿勢と重心は自分自身で写真やビデオで確認することができ、技術の上達に欠かすことが出来ず、常にチェックして修正する必要があります。


*チェックポイント(全ての姿勢に共通)

  • 尻の下に踵がある・足の中心の上に重心がある・背は伸びている・踵は下がっている・膝、踵で反動を吸収している・アゴが出すぎていない・肩先が身体の真横にある・体重が両鐙に均しくかかつている・膝が締まっていない・各関節が柔軟、等々






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