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乗馬の基本



扶   助

  
C騎座・脚・手綱

馬を操作する方法

 扶助には基本的な操作として騎座、脚、手綱があり、扶助の補助的なものとしてムチ、拍車、音声等があります。乗馬は騎座、脚、手綱(両手、両足、上体等、身体の全ての部分)を全て使い、しかも同時に別々な方法で操作しなければ馬を自由自在に動かすことが出来ません。
これを「身体各部の独立」と言います。


*騎座 騎座は腰から膝まで。
 騎座は、騎手の重心(注1)を移動し馬の動きを助ける扶助ですが、馬を直接に動かす力はありません(止まっている自転車に乗って身体を揺すっても自転車は動かないのと同じ)。運動しているときには、騎手の重心を馬の重心の真上より絶えず進行方向上に置き、停止のときは馬の重心の真上に置きます。
 騎座の最も大切なことは騎手の重心を馬の進行方向と反対側に置いて馬の動きを妨げないようにすることですが、騎手はその事を把握しにくいのです。
 スピードが速いときの重心の移動は、上体を進行方向に傾け(競馬の騎手の前傾姿勢等)、遅いときは騎手の姿勢や座る位置を変えることなく(回転運動は内方の踵に体重を掛けながら)重心を移動させます。(B姿勢と重心を参照)


(図@)





脚の位置が多少ずれて使っても馬は同じ様に感じる。
*脚 脚は膝から下。
 脚は、馬を直接動かす操作と、馬の姿勢の転位・変換を防ぐ受身の(逃げないように壁を作る等)操作があります。
 脚の操作方法には、フクラハギ、踵で圧す、軽く打つ等があり、馬を直接動かすことの出来る唯一の扶助で、脚が上手く使えない騎手は馬を支配することが出来ません。(自転車に乗ってペダルをこぐのと同じ)
 脚の使い方は、少し開いた足のツマ先から踵の方向(図@)、あるいは馬の反対側の腰角の方向に膝を曲げるようにフクラハギ、踵で圧します。弱く圧すときはフクラハギ、踵で軽く圧迫し、強く使いたいときは、膝を曲げて圧すと同時に踵を少し上へせり上げます。
 又、同じようにツマ先から踵の方向に軽く打ちます。


*手綱  手綱の操作には圧す、開く、弛す、控えるがあり、馬の進む方向を指示し、スピードをコントロールするとともに脚と協力して馬体の収縮等を行います。
 手綱は扶助の中で最も敏感で繊細な部分である馬の口を銜を通じて直接に接するもので、操作自体も細心の注意を払う必要があり、馬の口に苦痛を与えてはいけません。
 手綱の操作で最も大切なことは、手綱は引っ張って銜をかけるものではなく、脚により馬を推進する、あるいは、馬自体の前進気勢により馬自身が前進し、馬が自ら銜を受けるように仕向けることが基本です。
 「銜は掛けるのではなく銜を受ける」であり、手綱の張り具合はゴムひもを伸ばすことなくピント張る感覚です。銜受けの強さは、全般的に馬の各個体により変わりますが、収縮の伴う運動では、後躯が馬の重心の下へ踏み込み、前駆が高く揚がるために銜受けが軽くなるのが普通です。


・圧す  圧すは、手綱で馬の頚をかるく圧す(新馬調教等、銜受けが理解できない馬に、方向を指示するときに開き手綱と合わせて使う)操作と、馬術的に回転運動等の際、外方手綱で銜を受け止めることにより、自ら圧さなくても銜を受け止めることにより圧す効果が生まれる操作があります。(外方手綱で馬の頭頚が外に逃げないように壁をつくる。I回転参照)
 圧す操作で注意することは、拳がタテガミを超えて反対側に出ると圧す効果は逆になります(図)。

・開く  肘を身体から離すことなく、肘を中心に拳を横に開き(図)、馬に方向を指示します。(銜受けが正しく理解できない馬に方向を指示するとき等に使用)

・弛す=譲る  弛す(注2)という操作は拳を前に出し手綱を弛ませることではなく、馬が銜に出てきた分だけ、馬の口に影響を与えないように譲る、と言う意味で馬の頭頚の動きを妨げない操作です。

・控える=静定  控える(注3)という操作は手綱を後に引っ張ると言う意味ではなく、その場にと留め置きじっとしている、静定すると言う意味です。拳、手首の力を抜き、拳を前に譲ずることなく、又、引っ張ることなく手綱を静定し「控え手綱」馬の頭頚の動きを止めます。
 馬は運動する際、頭頚を動かし反動をつけバランスを取って動きます。控える手綱の基本的な操作は、馬の頭頚の動きを止めれば馬は動かないとゆうことです。
 指に力を入れて拳を硬くし、手綱を引っ張っぱると馬の口に硬くあたり、馬は苦痛を感じて反抗の原因となります。「控える」「弛す」も拳の姿勢、位置は同じで、指に力を入れずに譲るか譲らないかの違いのみです。
*扶助の補助
・音声  馬をほめる時や励ます時、又は、叱る時に声をかけたり舌鼓(ぜっこ、舌を鳴らす)を使うが、何れも馬に苦痛を与えない。

・拍車、
脚の補助
 拍車をつけたら圧迫のみで、鋭利な拍車や強打をして馬に苦痛を与えない

・ムチ  短いムチは頚・肩・腰等の筋肉の部分に軽打、あるいは馬に見せる。長いムチは肢の下方に使い後肢の踏み込みをうながす。ムチは馬にとつて非常に恐怖心を感じる道具であり、ムチを逆さに持ち決して顔頭に向かって使つてはいけない。

*注) (注1) 騎手の重心はおおむね腰(おへそ)、馬の重心は腹帯上(多少前後する)にかけて
(注2) 弛すは緊張をとく、力を抜くことで手綱をたるませる事ではない。
(注3) 控えるの意味は待機する。じっとしている。留めている(動かさない、進めない)で後ろに引く事でない。














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